遠賀町商工会
<令和4年 キャッシュレス商品券>
【事業者インタビュー】
遠賀郡遠賀町遠賀川2丁目6番18号
http://onga-shokokai.com/
会長 福田 秀徳様(オンライン)
経営指導員 丹生 宜秀様

Q:キャッシュレスプレミアム商品券の導入きっかけと状況を教えてください。
A:福田会長
従来の商品券は高齢者利用が多く、若者が利用できるということや国のデジタル化推進施策とキャッシュレスへの県の補助金もあり、積極的に取り組むこととしました。推進していく際には、キャッシュレス商品券への反応は賛否両論(高齢化している店舗等)ありましたが、理事会の中では、紙の商品券と併用(ハイブリッド)により合意を得ました。
ただ、紙の商品券と併用の場合、職員の工数負担が大きいという意見に対しては、事業者から換金手数料0.5%を受領し、職員の人件費に充てるようにしました。また、事業者からの抵抗はそれなりにありましたし、手数料が0.5%なら安いといわれる事業者もありました。結果として本年は、遠賀町から0.5%を補助していただいたため、実質手数料が0となりました。

A:丹生指導員
遠賀町商工会の会員は、会員数約560(町外含む)で、建設、自動車、小売り、飲食、サービス等多岐にわたります。ただ、宿泊、観光関連事業者は少ない状況です。
導入のきっかけは、2年前のPayPay等の電子決済に注目していたこと、JPQRの導入支援により考える時期であったことや福岡県からの電子決済の推進施策もありました。さらに、コロナ禍での非接触対応の施策の一環としても導入するきっかけとなりました。
昨年の5月に福田会長になり、キャッシュレス推進事業を積極的に導入展開しようと意思決定され、同年の11月には販売開始を目指すことになりました。
事前準備として、県下52商工会の調査(先行的に導入推進されている商工会の事例調査等)を行い、理事会へ報告し、賛否両論ありましたが、事例や追加施策を提案することにより、導入決定となりました。
事業者への説明を行う際には、ITリテラシーの格差があることを痛感しました。対策として、メリット、デメリット、手数料等の説明を丁寧に行い、少しずつ参加事業者を増やしていきました。
登録事業者数は、昨年度は130店舗弱の登録となりました。課題としては、コンビニ等POS対応が困難だったり、事業者のシステム改修費用負担等により、不参加となる大型事業者(チェーン店)もありました。
しかし、今年は初年度の実績もあり、POSへの対応についても自社で行っていただけるようになり、登録店舗数も増加しました。
また、利用者から事業者へ説得してもらったり、PayPayの利用者が多いためOnPayの利用にも抵抗がないというご案内をしたりしていました。

Q:年間通じての利用者、店舗側の評価を教えてください。
A:福田会長
2年目なので、キャッシュレスでの利用が当たり前となりました。初年度はQRコードを置いていない店舗や店舗の方がそもそもキャッシュレス自体を知らない、キャッシュレス商品券があることも知らない等ということが多かったです。
A:丹生指導員
町報でアピールを行い、さらに今年は動画を作成しYouTube配信をしました。また、個別に顧客へ説明(利用環境:インターネット等)を行いました。
その結果として、昨年は65歳以上の約8割が紙の商品券を利用されていましたが、キャッシュレスの利用者は、30歳~50歳が45%、65歳以上全体の約55%となりました。また、コンビニエンスストアで24時間チャージ可能とし、利便性を向上させました。意外な結果としては、若年層の利用が増えるだけではなく、それ以外の年齢層でも増えました。
さらには、町外からの利用者が多いのも大きなポイントです。町外は利用者全体の2割を占めています。もともと遠賀町のお店を利用されていた方、OnPayを利用したいからお店を紹介してほしいという問合せがあり、2次募集から町外の方々の利用もOKとしました。
Q:キャッシュレスを導入してよかった点や苦労された点は何ですか?
A:福田会長
良かった点としては、今まで紙の商品券では50~60代の方が多かったのですが、今回のキャッシュレスプレミアム商品券は、40代や30代という世代にも多く購入してもらえ、店舗にとっては新しい顧客獲得の機会になったと考えています。
紙の商品券を希望される方も、一定数いらっしゃいますが、60代の方々にも丁寧に個別対応することで、キャッシュレス決済に対応できるようになっていただきました。
A:丹生指導員
普及促進として、のぼり旗を制作し配布しました。その結果、店舗前の賑わいができました。事業者独自の発信がシステム上可能(ポップアップ機能)となり、店舗から「OnPayを利用するとお得ですよ」というメッセージを出してもらうことができました。主要な商品以外の紹介をしたり、歳末セールにOnPay利用促進をする店舗も出てきて、売り上げや集客増につながりました。
事業者のメリットとして、告知機能(紙ではオンタイムの告知ができない)ができることにより、商工会を通じて、利用者に直接メッセージが出せました。また、決済する際にスムーズな事務処理ができるようになったので、売上金の回収もスムーズになりました。
デメリットとしては、現金しか扱わない事業者には25%プレミアムがないということもあります。

Q:商工会として苦労された点を教えてください。
A:丹生指導員
5月~11月(約6か月)という短期間での販売開始は、商工会職員の理解と共有、役員の理解が大変でした。しかし、データ分析や他商工会の事例を使って説明したため、ご理解を得ることができました。
高齢者のスマホのセキュリティが高く、その対応が必要となったため、職員はスマホに精通することで、ITリテラシーは向上しました。
入金処理さえできれば手間がかからないので、さらに事業として継続し、拡大していきたいです。利用できる事業者や利用者を増やしていきたいです。
Q:今後の課題や各方面への要望などがあればぜひお願いします。
A:福田会長
商工会としてデジタル化の意識を向上させることは必然であり、取り残されないようデジタル化を推進する必要があると考えております。そのためには、国、県のご支援が必要です。さらに、安価にシステムが利用できることで利用者への還元もできます。
人的不足の解決にはキャッシュレス商品券の導入はポイントとなりますが、事業者・利用者のITリテラシー支援やキャッシュレスに対する理解の拡大のために商工会職員にも支援サポートをお願いします。筑前町と連携を図り、高齢者へのキャッシュレス商品券教室、ちくちゃんペイ購入・使用操作教室などを実施し、来年度はキャッシュレス利用者を増やしていく施策を検討しています。結果として、紙商品券→キャッシュレスへの移行を段階的に行っていきたいです。
振込手数料は、今回は導入初年度なので、商工会負担とさせていただいています。来年度以降については、加盟店を増やしていきたいので、極力店舗様の負担がないようにできればと思っております。
商工会の方で、飲食店と小売店で「筑前ビストロ街道チラシ」を作って、町内を回遊するイベントを実施しています。11 月7 日からスタンプラリーを始めますが、そのチラシに「ちくちゃんペイ」が使える店舗(19 店舗中17 店舗)を明記し、観光に利用いただくことで進めております。
A:丹生指導員
自分たち職員がいかにデジタルを利用(活用)していないか痛感しました。さらなるITリテラシーの向上が必要なので、そのような機会を作ってほしいです。また、利用者の利便性を考えると、郡統一、県内の統一したシステムやサービスが必要ではないかと考えます。告知では、県にもYouTube等広報力強化のご支援をお願いしたいですし、システムコストが高額なので、利用者(商工会、商店街等)の拡大と経費面の補助継続をぜひぜひお願いしたいと思います。